すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
 ≪基礎学力で教育再生≫

トップページへ  お問い合わせ
A.理論編 B.実践編 C.心の教育 ◆校長室の窓から ◆リンク集
1 教育を歪めた戦後の論調を糺す
2 指導要領改訂が学力低下をもたらした
3 アメリカ教育の荒廃と再生の過程
4 教育行政への提言
5 基礎学力をつける5つの柱
6 基「子供を楽にする教育」か「子供を鍛える教育」か
7 基礎学力の徹底で教育は再生する
8 戦後教育が善意で犯した罪
9 
10 
11 
12 

A【理論編】今、なぜ基礎学力か

2.ゆとり教育をめぐる経過 指導要領改訂がもたらした学力低下

・1965〜75年   大学紛争、日教組による教員のストライキの嵐が吹き荒れた 。
 (昭和40年代)    ⇒  教育の荒廃

             ストライキの旗印=日の丸・君が代反対、ベトナム反戦、沖縄返還運動
              など軍国主義体制・国家主義体制打破を強調した。 
              これら反政府、反体制批判の運動は、マスコミ報道は声援を送るも市民
              や父母らの支持が得られなかった。ただし、学校の管理体制は確実に
               崩れた。

             しかし、昭和50年代( 1975 〜85年)になって軍国主義・国家主義
              反対という言葉を「管理教育反対」に転換すると、一般市民やマスコミ
              に急激に受け入れられ、誰も反論できない言葉となってしまった。この
              結果、管理教育反対が声高に叫ばれ日本の学校の規律低下が進み、
              1970年代にアメリカのすさまじい教育荒廃と同じような状況が、その
              後日本にも現れていくことになる。

              この管理教育反対の声に押されて文部省など教育行政サイドが、「校
               則の見直し」を言い、ゆとり教育を導入していった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

・1977年     「学習指導要領」の改訂で ゆとり教育路線 が導入された。
 (昭和52年)    (ゆとり教育の始まり)

               【詰め込み教育と落ちこぼれの解消を目指して、学習内容のスリム化
               と授業時数の削減する「ゆとりと充実」が打ち出された】例 標準授業
               時数→6年生で年間1095時間が1015時間に。現在は945時間ま
               で削られた。

・ 1989年      「学習指導要領」の改訂で 『新しい学力観』 が華々しく登場した。
 (平成元年)     ゆとり教育の強化)
 大転換の年    
知識の量よりも考える力や創造性が重要。 そのためには 関心や意
               欲を大切に
した授業をしなければならない】マスコミも社会も教育現場
               も大歓迎で異を唱える声なし。
失われた10年の始まり          (「学習指導要領」の施行は92年4月)

                           ↓                                          

              学校現場に強い指導 が入った。「新しい学力観」が連呼され「学力
               観が変わったから授業も変わらなければならない」すなわち、 知識の
               詰め込み教育はいけない
。子供の自主性を伸ばすために 教え込み【
               教師主導】を追放し、関心や意欲を大切にした授業で教師は支援に徹
               しなければならない
とされた。それまでの伝統的な一斉授業を全面否
               定された全国の学校では、戸惑いと混乱が広がった。

              まず、子供の自主性や考える力を目指す「新しい学力観」から見ると、
               読み書き計算の反復学習は、詰め込み教育であり、教え込みであり、
              「新しい学力」の対極にある正に「旧い学力」の典型とみなされた。かくし
              て、全国の学校現場から、授業で反復練習させてきちんと基礎学力を身
              につけるという地道な取り組みは、時代遅れの取り組みであると否定的
              に扱われ軽視され、急速に見られなくなってしまった。この結果を象徴す
              るのが、かけ算九九さえ覚えていない中学生や高校生が全国どこでも
              珍しくなくなったことである。

             また、「知識の詰め込みや教え込みを追放し、関心・意欲を重視した授業
              」をしようとすれば、 「教えない指導」路線 にならざるを得ず、それは
              多くの場合、児童生徒の興味に基づいた「自主的な調べ学習」と称する
              指導のない自由な観察記録・レポート・新聞作成などであり、それらの発
              表と少しばかりの話し合いである。そして、教師は教えることなく、アドバ
              イスし見守るのが役目となった。 

              また、自主性を尊重し、支援の授業を推進し、宿題を減らした結果は、
              混乱と学ばない子供を大量に生みだした。

              一言で言えば、 「ゆとり」「新学力観」は、「教えない」「学ばない」現
             象を生じさせた
ということである。

・1998年  「学習指導要領」の改訂で 『生きる力』 が登場した。 (ゆとり教育の完成)
(平成10年)  【ゆとり教育の総仕上げとして「新しい学力観」に基づく「生きる力」が唱えら
            れ、学校五日制、教育内容の削減、総合的な学習が導入された】

                       ↓ 

              今回も学校現場への強い指導が入った。「生きる力」が連呼され、「詰
              め込みと教え込み」の追放はピークに達した。

                       ↓

              この頃から、「学力低下批判」「ゆとり教育批判」が登場した。2000年
              になると「ゆとり教育批判」は急激に勢いを増して、その後、我が国の教
              育における支配的論調になってきた。

 

・2002年      「学びのすすめ」 が遠山文部科学省大臣から出され、事実上、ゆとり
( 平成14年1月 )   教育の軌道修正が図られた。 

              その後、ゆとり教育見直しで学校現場は素早く大きく変わっていった。

                       ↓

              2002年4月から「学習指導要領」の学校五日制や総合的な学習が本
              格実施となったが、どの学校でも、読み・書き・計算の反復学習に力を入
              れるようになり、宿題も増やされていった。学校の規律も重視されるよ
              うになった。また、総合的な学習には基礎学力が必要なことも認識され
              てきた。一斉授業の復活の動きも一部で見られるようになってきた。これ
              によって、学力低下と問題行動の増加に一定の歯止めがかかった。