B−基礎学力はこうしてつける
8.音読の指導法・漢字の指導法・視写の指導法
音読の素晴らしい学級は、学習規律の高い 素晴らしい学級です
声をそろえることで心が一つになります。心が一つになれば感動が伝わります |
(1) 音読指導5つのポイント
@ 学習の構えづくりは「 待たないで待つ 」(すべての指導に共通)
・音読で大切なことは 、声を出す前に、まず「学習の構え」をつくること
机の上の整頓、教科書やプリントの持ち方、とりわけ、 姿勢を正す (座っているときは
両足の裏を床にしっかりつける)ことが重要→これがおろそかになっていたら、決して感動
が伝わる音読にはならない。
・ (例) 「教科書○○ページを開きなさい。○行から追い読みをします」→この時点では、
まだ、約半数の子が教科書を出していない。先生は、子供がそろうのを待たないですぐ
1行目の追い読みを始める。→遅い子が急いで教科書を開いて追いついてくる。→「み
んなの本の持ち方がいいですね。さすがです」と言って2行目の追い読みをする。大半
の子がそろって追い読みに加わってくる→「○○さんは良い姿勢ですね」と言って3行目
の追い読みをする。この時点で全員がそろって集中している。【もしも、まだ本を開いて
いない子がいたら側に行って本を出してやる】ここまでが「待たないで待つ」である。→「
両足の裏を床につけましょう。皆さん姿勢はいいですか」→全員そろって「はいっ」→この
後、本格的に授業を始めればよい。
※ ビデオ(2年3組)椅子の下げる音がしていない 【見えないところも訓練されている】
A 基本を徹底する(すべての指導に共通)
・ 教師の範読をよく聞かせる。【教師がモデルを示す】 追い読みは教師と同じ早さを
要求する。
・ 美しい口の開け方(あ、い、う、え、お 発声練習を)0の声で口の形を意識させる。
・ 最初の言葉をそろえる。(重要)
基本の指導は厳しければ厳しいほどよい。
・ 基本ができている子には、肩に手をふれて【=音読の邪魔にならないように】評価するこ
とが効果的。 時には、教壇に上げてモデルとする。
B 自分が一番いいと思う表現(声や表情など)を工夫させる
・ 必ず子供なりに工夫させる。
・ 子供の意見、考え、提案を引き出すように努め、耳を傾ける。
「ここの読み方で意見はありませんか」
・ 子供たちからの意見は否定せず、「なるほど」「すばらしいですね」とすべて受け
入れる。
☆ 「なるほど、 今の意見を参考にして(今考えたことに気を付けて) もう一度音読して
みましょう」
☆ 「すばらしいですね。それでは 自分なりに工夫して もう一度音読しましょう」
・ 言葉を大切にして音読する。 「もっとやさしく」「もっと明るく」「まばたく星のように小さ
くていねいに」など、高度な要求も行う。子供は先生からの高い要求を求めている。
C 聞き合う場をつくる
・ 二人で向き合って、グループ同士(男女、列ごとなど)で向き合って読む。
目線(声の届け先)を決める。下を見ない。
・ 聞いてもらう相手を意識することで音読は上達する。
(例) 「そんな怒鳴り声、相手の人は聞きたいと思う?」
届いたか、伝わったかを意識させる。 【初めて聞く人が一回聞いて内容が分かる
レベルを目指す】
相手を意識して、 声を届ける 、 気持ちを届ける 、 顔や全身でも届ける こと
で音読は上達する 。
★ 聞き合うことで、伝え合う力も伸ばすことができる 。
D ほめて励まして自信をもたせる(すべての指導に共通)
子供たちが楽しく音読して、いっぱいほめられて元気になっていく指導を目指す。
(2) 音読のバリエーション
単調にならないようにするために、以下の様々なバリエーションを取り入れ、テンポよく行う。
A 読み方
@ 追い読み
・ 教師の後を続けて読む。
・ 1人ないし数人の子供の後に続けて読む。
A 交代読み
・ 教師と子供全員で、1文ずつ交代で読む。
・ いくつかのグループ(男女、生活班、列ごとなど)に分かれて、1文ずつ交代で読む。
・ 二人一組になって、1文ずつ交代で読む。
B 全員一斉読み
全員で一斉に、速さをそろえて読む。
C 一人読み
・ 一人で全文を読む。
・ 一人ずつ交代で1文をリレーして読む。
B 速さ
・ ゆっくりから速く、音読の速度を変えて読む。
・ 1音の発音の長さを変えて読む。(短く切って読む、伸ばして読むなど)
C 声の大きさ
・ 口をしっかり動かし、声を出さず(0の声)に読む。
・ 口をしっかり動かし、微音(1の声)で読む。
大きな声で読む。
D 学習形態
・ 教師と子供で、上、下、横などいろいろな方向を向いて読む。
・ 二人で向き合って読む。
・ グループ同士(男女、生活班、列ごとなど)で向き合って読む。
8.-2 漢字の指導法
(1) 漢字学習の進め方
A 漢字の読み方、用法例を音読する
B 漢字を覚える
@ ゆび書き
・ 教師にあわせて丁寧に空書き→ 教師は確認 し、ほめる 。【重要】
回数を重ねるにつれ、スピードアップする。
・ ゆび書きの回数はなるべく多くする。(20回を目途に)〓 これが 忘れない コツ
・ 机の上や手のひらなどに指で書く。そのとき、必ず「いち、に、さん…」と 声を出して
画数を唱えながら書く 。〓 これが忘れないコツ
★ 難しい漢字は、 漢字の記憶術 を活用する。すなわち、 漢字の一部分に赤丸印をつ
け て、声を出すときにそこを 大きな声で強調して 唱える。 〓 これが忘れないコツ
【例】

A なぞり書き
・ 指で正しく書けるようになったら、鉛筆で丁寧になぞる。
B うつし書き
・ 手本の字を見て、丁寧に書く。
C 手本を隠して1人書き
・ 手本の字をカードで隠し、正しく書く。書き終わったら、手本の字を隠していたカードを
外して正しく書けたか確認する。
(2) 評価
@ 教師による評価
定期的に漢字テストを行い、定着を図る。
A 自己評価
筆順と画数があっていたか。
ますからはみ出さずに書けたか。
丁寧に書けたか。
手本とそっくりに書けたか。
※ 家庭学習では、確実に覚えるまで「ゆび書き」をすることを中心にする。ノートに漢字を何
行書いてくるといったノルマ的な宿題は極力避ける。
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