すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
 ≪基礎学力で教育再生≫

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A.理論編 B.実践編 C.心の教育 ◆校長室の窓から ◆リンク集
★誰でもできる基礎学力指導法(動画
1 「学習の約束」
2 「宿題の方針」
3 保護者との連携
4 学習の基礎の基礎
5 指導の3原則
6 授業場面でのほめる指導
7 学力を伸ばすための簡単・確実・効果的な方法
8 音読の指導法、漢字の指導法、視写の指導法
9 計算力を鍛える指導法(基礎計算指導法)
10 算数授業のパターン化、ノート指導法
11 国語授業のパターン化、ノート指導法
12 百人一首の指導法

B−基礎学力はこうしてつける

10.算数授業のパターン化・算数ノート指導法

 基礎教科である「算数」「国語」の授業の型を決めた取り組みは、 見せるための特別な授業ではなく、あくまで日常の授業の地道な改善を目指すものです 。日常の授業改善のためには、授業をパターン化することが効果的です。「習熟を徹底し教科書で教える算数指導」、「音読・暗唱を重視し、読み取る力をつける国語指導」がそれです。これらは、いずれも 「できる」を「分かる」より先にする授業の型 です。

 学習内容にもよりますが、「できる」を「分かる」より先にする授業は多くの場合たいへん効果的です。例えば、かけ算九九の学習で、先に九九の暗唱を丸覚えさせてから後に九九の意味を教科書通りに教えると、どの子もよく「分かり」落ちこぼれが生じません。これを逆にすると、最初の意味の理解でつまずいてやる気をなくし、九九の暗唱にも取り組めない子供が出てしまいます。国語でも、音読・暗唱・視写・漢字などの反復学習を採り入れることで、どの子にも言葉や文字への感覚が育ちます。とりわけ、音読では意味の理解を早急に求めるのでなく、言葉そのものを繰り返し心に刻みつけてこそ、心の底に深く根ざした真に生きた言葉として育っていきます。

 これらの授業によって、どの先生も子供たちに確実に力をつけることができます。また、子供たちにとっては、型が決まっているので見通しをもって学習ができます。この取り組みで、苦手だった算数と国語が好きになり子供たちが増え、算数と国語の学力は確実に上昇します。

 

  この授業の型は、特に、子供に確実に力を付ける授業のやり方が分からない先生への一つの指針として提示しているものです。(自分のやり方に自信があり、子供にも確かな力を付けておられる先生には必要ありません)

 また、 この授業の型は、各自が実践の中で有効な方法を取捨選択しながら工夫を加えていっていただくことを前提にしています 。小さな工夫の束がその先生のオリジナルな指導法となります。どの先生もその先生らしい創意工夫に満ちた指

 導法を開発されることを願っています。

 

「習熟を徹底し教科書で教える算数指導」

(1)   計算指導の基本の型

☆ 教科書の順序を入れ替えて、計算等の習熟の授業を先に行い(「できる」を先に行う)、その後、意味の理解の授業を行う。これは、意味の理解でつまずいてやる気をなくす子を出さないため。 

@ 教科書の例題で計算の手順を知る              

 ・ 教科書の例題で教師が計算手順を、子供と掛け合いながら板書して説明する。

 ・ 手順を繰り返し唱えさせる。(全員で、ペアで、一人で、立って…)

 ・ 各自がノートに写す正しくていねいに写す。

 ・ 書いたノートを教師(隣の子)がチェックする。早く終わった子は手順を唱える。

A 教科書の練習問題で解き方の定着を図る               

 •  1問目の練習問題を各自がノートに解く。

 •  教師が1問目のやり方を板書する。各自で間違っていたら書き直しをし、分からなかったら
  丸写しする。

 •  各自で残りの練習問題を解く。3問解いたら教師にノートを見せる。教師は1問のみ素早く
  ◯×でチェックする。(これは、長い行列をつくらないため。残りの問題の答え合わせは、こ
  の後に全体で行う)

 ・ 合っていたら残りの問題に進む。間違っていたら直して、また教師に見せる。

B 早くできた子供が板書し手順を説明する

 •  練習問題が全部終わった子から6〜8分割してある黒板に解答を書いていく。(1問に、二
  人づつ板書する)   そして、板書した子が、解き方や手順を説明する。(これは、遅い子に
  追いつく時間を与え、早い子に空白の時間を与えないため)

 ・ 板書の解答や説明を見聞きしながら、各自丸付けをする。間違っていた問題は直す。分
  からない子は黒板を写す

 ・ できた問題とできなかった問題に印を付ける。(教科書チェック)      

C 自分に合ったコースを選んで計算の習熟を図る (2、5 ,10問コース)

 •  まとめの計算スキルの2問、5問、10問から、自分に合ったコースを選んでテストする。(2
  〜3分間)

※ 2問コースに対して、教師は本気で2問できればよいと思うことが大切。途中のコース変
  更は認めない。

 •  答え合わせをして点数をつける。(答えは、教師が最後の 10 問から順番に言う。これは、
  5問、2問コースを選んだ子供に集中力を持続させるため)

 •  間違いを直したり、できていない問題を解いたりする。終わった人は「早くおわった人用問
  題」を解き、自分で丸付けをする。

 •  早く終わった子は、シールを貼る。(遅い子が追いつくための時間調整)

 

(2)  意味の理解、文章題指導の基本の型

@ プレ例題(教科書の例題を簡単な数値に置きかえた教師問題)を解く

 •  プレ例題(例題の数値を簡単な整数に変えた問題)を提示する。

 •  全員でプレ例題を2回音読する。

 •  数直線や半具体物を使って問題をとらえる。

 •  立式した後、言葉の式(ex、代金÷買った長さ=1 m の値段 )や公式、「田の字の解き
  方」などに表す。

 •  計算、答えを書く

A 教科書の文章題の例題を解く

 •  例題を2回音読し、大事な言葉や数値に下線を引く。

 •  数直線や図、半具体物を使って問題をとらえる。

 •  プレ例題のやり方を手がかりに立式し、計算、答えを求める。

 •  やり方を発表する。違う解き方が出たときは考えを係わらせる。

 •  違っていたら書き直しをし、分からなかったら写す。(「写すことも勉強」写しているうちに分
  かってくる)

B 教科書の文章題の練習問題で解き方の定着を図る            

 •  例題の解き方を手がかりにして、各自がノートに立式し、計算して答えを出す。

 •  解いたら、ノートを教師に見せる。

 間違っていたら、やり直ししてまた見せる。

 早くできた人は、別の解き方を考える。

C 早く解けた子供が板書し、解き方を説明する

 •  早く解けた子供が板書し、説明する。教師が補足説明をする。

 •  板書や説明を見聞きして、合っていたら丸を付け、間違っていたら書き直す。分からない
  子は写す。

 •  できた問題とできなかった問題に印を付ける。(教科書チェック)

D コースを選び、類似問題 で文章題の習熟を図る (1,2、5 ,問コース)

 •  類似問題や復習問題、教師問題で習熟を図る。

 •  早く終わった子は、例題を参考にして問題づくりをする。 

 

算数の少人数指導について

 小学校では、少人数指導は習熟度別ではなく、担任教諭と少人数指導教諭が学級の人数のそれぞれ半分を担当する「 均等分割・一斉指導」の少人数指導を 中心にすることが効果的です。 

習熟度別授業を採らない理由

@  小学校段階で一部の子供たちの心理的差別感や誤った優越感等をもたせたくない。 

A  習熟度別授業は、グループ分けの労力、調整・打ち合わせ・共通理解の労力が過大であ
  る。均等分割・ 一斉指導の授業形態は、シンプルで運営上の無理がなく、しかも、学力向
  上効果も高い。

B 全校一斉に基礎学力の時間などを特設して、子供たち全員の計算力の底上げを図って
  いれば、小学校では習熟度別に分ける必要がない。しかし、遅れた子供の「補習の時間」
  は確保する必要がある。

C 習熟度別では、学力が低いグループに集まった子供たちの学力レベルにも大きな差があ
  る。このため、このグループに関しては一人の教師が教えるには、逆に一層困難になること
  が少なくない。

D 様々な子供が協力しあって、ともに学ぶことに意味がある。

E 習熟度別授業は、学力格差の固定化、拡大の恐れがある。

 

(3) 「田の字の解き方」の活用

 高学年では文章題の解き方に、 広範囲の文章題指導に効果が見られる 「田の字の解き方」も採り入れましょう。

(これは、文芸社出版 はんば正幸著「田の字の解き方」を参照してください)

@ 問題を読む (問題の文意を読み取って、求めるところを□または X と表す)

A 立式するために、田の字を書く (正方形を書き、その中を4等分する)

B 「田の字」4つの枠の中に数と単位を書き込む。求めるところを □または X と表す

C  求めるところ( □または X )から見て、横(にある数字)×縦(にある数字)÷斜め(にある数字)で立式する

D 計算して答えを求める

具体的な事例

◎5年 少数のわり算

 3.6 m の重さが5.4sの鉄の棒があります。この棒1.2 m の重さは何sですか。

※「田の字の解き方」

3.6 m

1.2 m

5.4s

 ] s

 3.6  × ] = 5.4 × 1.2
 この関係は始めに説明するが、立式では横×立て÷斜めを使う

 ]の( にある数字 ×縦 にある数字 ÷斜め にある数字 ) → 5.4×1.2÷3.6

  式 5.4×1.2÷3.6=1.8   答え 1.8s

 

◎6年 速さの表し方 

 分速500 m のミニバイクが、4.5q進むのにかかる時間は何分間ですか

※「田の字の解き方」

500 m

4500 m

 1分間

] 分間

 500 × ] = 4500 × 1

 ]の (  にある数字 ×縦 にある数字 ÷斜め にある数字  ) → 1 × 4500 ÷ 500

  式 4500 ÷ 500 = 9   答え 9分間

 

「田の字の解き方」のよさ

  •  比例関係を使っているので、文章題の立式の際、多くの場合に活用できる。一旦、この方法を身に付ける
   と文章題に対する苦手意識がなくなり得意になる。中学、高校でも活用できる。

  •  どんな式になるか迷ったり、分からなかったりした時、この方法で立式できる。

  •  立式が合っているか、この方法で確認できる。

 

(4)  算数のノート指導 学習の足跡が分かるきれいなノートの指導法

●ノートを見ると勉強の出来、不出来が一目でわかる

 ノートがぐちゃぐちゃな子供がよい成績を収めることはありません。それは、ノートが雑然としてい
れば、それだけミスが多くなからです。それ以上に、ノートを乱雑に書いているということは、ていね
いさや粘り強さに欠けているということです。勉強にはていねいさや粘り強さが必要とされます。です
から、ノートの乱雑な子どもはていねいさや粘り強さに欠けているので、よい成績が無理なのです。

  逆に、ノートの乱雑な子どもが、ノートをきれいに書くようになると、成績がよくなったという実例
は数多くあります。

 ですから、どの子にも「見やすくきれいなノート」づくりを指導することが重要なのです。

●見やすくきれいなノートをつくるポイント

 @ミニ定規を使う

   ミニ定規 ( 10〜15p ) を使うことに慣れることは基本中の基本です。それは、ていねいさの象
   徴でもあります。ミニ定規は、有名附属小学校で学力向上の秘訣として伝承されていたものです。 

  ミニ定規を使えば、位取りがきちんと書けます。うっかりミスの多くは、位取りの間違いによる
  もので、定規を使うようになると防ぐことができます。

  実際に、ミニ定規を使うことに慣れてくると、ノートがきれいになり、ミスが激減してきます。

  ミニ定規を使いこなすようになれば、それだけでテストの点数は確実に10点は上がると言われて
   います。ミニ定規を使うことは、それほど優れた指導法なのです。

 A問題と問題の間は2マス分あける

   問題をぎっしり詰めて書く子供がいます。これも、ノートを見にくくし、ミスを犯しやすくする原因にな
  ります。問題と問題の間はたっぷり余裕をとることが

   見やすいノートをつくるポイントとなります。といっても、「すこしあけなさい」では、子供にはわかりませ
   ん。具体的に「2マス」ということが大切です。これでノートは見違えるように見やすくきれいになります。

  なお、下の行に移るときは、1行か2行あけます。

     【書き方の例】

  

 B間違ったら消しゴムで消さないで隣に書き直す

     【書き方の例】

   

   間違っても消さないで、その横に新しくやり直します。ですから消しゴムは使いません。勉強は間違った

   ところこそ重要です。間違ったところを消しゴムで消して、正しい答えに書き直していたら、自分がどこを
   どう間違ったのか、わからなくなってしまいます。ですから、答え合わせも消しゴムは使いません。

   消しゴムを使うと汚くなるし、時間がかかります。隣に書いた方が早くてきれいです。

 C補助計算は堂々と書く

   補助計算とは、子どもがノートの隅に小さく書いて、すぐ消してしまうような計算のことです。

   この補助計算を堂々と書くことで、間違いが少なくなります。また、どこで間違ったかも一目でわかるように
   なります。

  

◎上記の4点以外のノートづくりのポイント

・  日付、教科書のページ、題名、問題番号を書く

・  文字や数字を罫線にふれるくらい大きく、はっきり書く

・  答え合わせの赤丸は、閉じたきれいな◯を書く

・  22行のノートを使う 。(1、2年生は14〜20行)

●算数ノートの見本