すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
 ≪基礎学力で教育再生≫

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A.理論編 B.実践編 C.心の教育 ◆校長室の窓から ◆リンク集
1 当たり前のこと10カ条
2 心のキーワード36
3 生活指導は基礎学力の徹底で
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C−心の教育(規律のある中での温かい指導で心は育つ)

3.生徒指導は基礎学力の徹底で行う

読み書き計算が子どもの脳を育てる

ゆとり教育や新学力観が導入されて以降、読み書き計算が著しくおろそかにされてきました。読み書き計算の反復学習は詰め込み教育であり、旧い学力の典型であると見なされたからです。しかし、読み書き計算を軽視した結果は、今日の学力低下と生きる力の低下です。

最近の脳科学の研究で、読み書き計算の反復学習の驚くべき効果が明らかになってきました。 とりわけ音読と単純計算が、思考を司っている大脳の前頭前野を最も活性化させ、考える力も創造性も伸ばすことや、子どもの荒れ・キレをも防ぐということ 、さらに、痴呆症の予防・改善にも極めて大きな効果があることが、十数年の臨床データによって確かめられているのです。

学校ぐるみで基礎学力を徹底する

五福小学校では、すべての子どもに基礎学力を身につけさせることを目指して、毎日一限目の三〇分間(15分×2コマ)を「基礎的な学習の時間」として特設して、全校一斉に読み・書き・計算の反復学習(音読、計算、漢字、視写等)に取り組んできました。しかも、この反復学習に際しては、何よりも徹底的に褒めることを大切にして取り組んできました。

これは、子どもたちの問題行動やトラブルが多く、授業に集中できない状況をなんとかしたいとの思いから平成13年度より始めたものです。当初のねらいは学力の向上よりも、落ち着きや「学習への構え」をつくりたいといった生徒指導上の効果を期待したものでした。
平成14年度からは、学力向上フロンティアスクールの指定を受けています。

 音読 ( 暗唱 ) と百マス計算を重視する      

基礎的な学習の時間では、音読 ( 暗唱 ) と百マス計算を重視しています。

特に音読 ( 暗唱 ) に力を入れるのは、今日の国語力低下の原因が学齢期に音読 ( 暗唱 ) 教育が行われなくなったことにある、ととらえているからです。音読 ( 暗唱 ) の効果は、言語に関する感受性、理解力、読書力、コミュニケーション能力等の向上として表れます。さらに、集中力、記憶力、想像力を高め、ストレス解消効果や精神安定効果までもあります。なお、音読は全校で毎日の宿題にしています。 

 また、基礎的な学習の時間の計算練習は全校で、百マス計算を中心に取り組んでいます。15分で300題とチャレンジ問題を行い、答え合わせから記録までを終えています。全校で百マス計算や余りのある割り算百題に取り組むのは、計算力を鍛えるだけでなく、集中力や持続力などの学習能力、時間感覚や学習への構え、学習意欲の向上にも確かな効果が見られるからです。

 部分的に大人を越えるレベルを目指す

 「基礎的な学習の時間」では、部分的に大人を越えるレベルを目指しています。大人より美しい音読や文字、大人を越える暗唱の量や計算の速さ、といったレベルを目標にしてトレーニングしています。事実、百マス計算では、2年生以上のほとんどの子どもたちが2分台でやり遂げられるようになっています。中には1分以内にできる子も少なくありません。また、合唱のように美しい音読ができる学年も増えています。さらに、現時点で百人一首を百首全部暗唱した子どもたちは百五十人を越えています。

努力すれば大人を越えられる体験は、子どもに自信と一層のやる気を与え、自尊感情や自己肯定感を高めています。

 全校統一の指導マニュアルを作る

 本校では、「基礎的な学習の時間」の指導法を改善するために、互見授業を日常的に実施し、全校で統一した「音読」「漢字」「視写」「百人一首」「百マス計算」等の指導マニュアルを作っています。
  とりわけ、褒める(励ます、フォローする)指導は全ての指導の「基本マニュアル」の中心として位置づけ、褒め言葉の種類を増やし、力強く短く褒めることを徹底するよう努めています。

これらマニュアルによって、この時間の指導は、どの教師にもやりやすく確かな成果が得られ、指導の一貫性につながっています。

読み書き計算で、生きる力も伸びる

読み書き計算を徹底することの効果は予想以上でした。子どもたちは、自信、落ち着き、精神的安定、問題行動の減少、学習規律や学習意欲の向上など、確実に力をつけました。とりわけ、子供たちの「集中力」や「持続力」は著しく伸びました。この「集中力」や「持続力」は、物事を創造し、やり遂げる際に必要不可欠な能力であり、これこそ生きる力の中核といえるものです。

本年度は学力の基礎を鍛えるとともに、「できる」「わかる」授業を目指し、国語、算数の授業をパターン化して、日常の授業の改善に取り組んでいます。

                    富山県教育女性連盟会報「あゆのかぜ」

                     第20号 平成16年2月 掲載原稿