![]() |
すぎた きゅうしん |
![]() ![]() |
A.理論編 B.実践編 C.心の教育 ◆校長室の窓から ◆リンク集 |
|
富山市立山室中部小学校 校長室通信 第1号 (平成17年5月16日) |
※ この「校長室の窓から」は、学校の方針についての詳しい説明や校長の考え、家庭教育に役立つ情報の提供を目的にしています。学校の取り組みを紹介する「学校だより」とともにご愛読をお願いします。
近年、強く感じることは、「さびしい子ども」、「愛情に飢えた子ども」たちが以前にも増して著しく増えていることです。これは親が多忙で心の余裕がなくなっていて、子どもに十分関われなくなっていることが最大の原因のように感じられます。
「さびしさ」は「心の不安定」をもたらします。子どもの心が不安定では、学習に集中できるはずがありません。心の安定は「学力」を支えるだけでなく、健やかな人格形成にも必要不可欠であり、最もその基盤となるものです。
また、「さびしさ」や「心の不安定」は、たびたび「怒り」に発展し、「問題行動」、さらには「凶悪事件」にまでつながっていくことさえもあります。もちろん、「さびしさ」がすべて事件や犯罪に直結する訳ではありません。規範意識や理性が育っていれば、問題行動は抑制することができます。しかし、問題行動の出発点になっている「さびしさ」や「心の不安」を解消し心を満たしてやることこそ、規範意識の前に真っ先にやるべきことです。事実、子供の問題行動は、保護者が子供に積極的に関わる(叱ることを含めて)ことで急激に改善していく事例を多く見てきました。その子は自分が愛されていると感じて心が安定したのでしょう。
愛されている実感と確信を我が子に もたせましょう
心の安定は、なによりも親から愛されている実感と確信によってもたらされるものです。そして、愛されている実感と確信を我が子にもたせるためには、何よりも、まず、子どもにさびしい思いをさせないことです。小学生には、まだまだ、親と一緒に過ごす時間が必要です。しかし、親によっては、様々な事情から帰宅が遅くなる人もいて子どもと一緒にいる時間が少ない人もいます。そのような事情があるなら、例えば、置き手紙やテープレコーダーを使って、毎日子どもに愛情に満ちたメッセージを伝えることなどの、子どもにさびしい思いをさせない工夫をして欲しいものです。そして、帰宅したときに子どもが甘えてきたら、短時間でもしっかり受けとめてやるのです。このように、ふれあいの密度を高めることは可能です。
この年頃の子どもには、まだ十分甘えさせることが必要です。甘えさせると子どもが自立できないとの考えがありますが、実際には、十分甘えた子どもの方が自立は早いのです。それは、十分甘えて親から愛されている確信をもっているから、安心して冒険ができるのです。ただし、子どもに十分甘えさせることは必要ですが、かまいすぎには注意しなければなりません。それは甘やかしです。 子どもが求めてきたときに受け止めるのが「甘えさせる」 、 子どもが求めてもいないのにあれこれ世話をするのが「甘やかし」 です。かまいすぎ=甘やかしは子どもの心に依頼心を生じさせ、著しく自立を遅らせるので気をつけたいものです。
また、「あなたはわたしにとって大切な存在だ」、「あなたが生まれてきてよかった」、「わたしはあなたを信頼している」このような親の心からのメッセージを時々伝えておきましょう。これは愛されている確信を子どもにもたせる上で、極めて効果の大きいものです。そんなことは言わなくても子供はわかっているはずだと自信のある方も、明確に言葉で伝えることはとても大切なことです。この言葉かけで親子のつながりは一層深まるでしょう。
子どもとの会話を楽しみましょう
親から愛されている実感と確信は親子のなにげない会話、コミュニケーションから生まれるものです。ですから、まず、親子の会話の場を確保することが必要です。いくら多忙でも週に何回かは夕方7時くらいに家族がそろうようにして、テレビを消して、語らうようにしてみられてはどうでしょう。テレビを消せば、食事の時間は親子の対話のゴールデンタイムとなるでしょう。この時間に子どもがいる喜び、満足感や幸福感がいっそうはっきりしてくるのではないかと期待するものです。そんな喜びを、私たちは忙しい生活の中で忘れがちになっているのかもしれません。親が、子どもと語らうことに喜びを感じているのに、それがうれしくない子どもなんていません。一家団欒の中で子どもの心が健やかに成長しコミュニケーション能力も伸びていきます。これが一番大切な心の教育の場ではないかと思います。
コミュニケーションを深めるよい方法は、子どもの話を「すごいね。お母さんが子どもの頃にはそんなこと習わなかったよ・・・」などと 感心しながら聞いてやることです。子どもの話を感心して聞いてやれば子どもは毎日話してくれるものです。特に、学校で学習したことや出来事を子どもに聞くことをお奨めします。子どもは、親に話をすることで学習した内容が定着します。親にとっては、学校の様子や子どもの状態がわかります。また、ニュースなどの気になる話題について子どもからコメントを求め、話し合うことでもコミュニケーションが深まります。ぜひ、できるところから、できる範囲で実行されてみてはどうでしょうか。
最後に、ほめて育てることも大切です。ほめることは最高のコミュニケーションです。
この年頃の子どもは、「もっとほめてほしい。もっと認めてほしい」という気持ちが強いものです。この気持ちは、3年生ごろにピークに達するようです。十分ほめてやると子どもは精神的にずいぶん安定します。ところが、「子どもによいところがないのでほめられない」という親や教師は少なくありません。ほめられないのは、子どもへの要求水準が高いからです。要求水準が高いと、叱ることが多くなってしまいます。しかし、「できなくて当たり前。できたらすごいんだ」と考えれば、叱ることは少なくなりほめることが多くなります。例えば、靴を脱ぎ散らかすので当たり前、そろえていたらすごいんだと考えると、靴をそろえたことをほめることができます。できて当たり前と思っていたらほめることは決してできません。ですから、ほめ上手になるには、思い切って子どもへの要求水準をいったん下げることです。その方が結果として子どもが伸びます。また、ほめるとき(叱るときも)は、決して人と比べないことです。これは鉄則です。昨日までの本人の小さな進歩や努力を見つけてほめることが大切です。
5月14日(土)のPTAの環境ボランティア活動には約50名が参加され、熱心に取り組んでいただきました。おかげで美しく整った環境になりました。特に前庭の樹木の下枝を落としてもらったことで、見通しがよくなり防犯効果も高まりました。心より感謝いたします。 |
★ 先日の皇太子殿下の記者会見で紹介され話題になった、ドロシー・ロー・ノルト女史の詩「子は親の鏡」を配布させていただきました。家の中の目に付く所にでも掲示していただければ幸いです。