すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
 ≪基礎学力で教育再生≫

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校長室の窓から

問題が起きたら、共に成長を図る機会にしましょう

富山市立山室中部小学校 校長室通信        第7号  (平成17年10月7日)

問題が起きた後、親がどんな行動をとるか。それで子供の将来が決まります

我が子が問題行動を起こしたというのは愉快なことではありません。悩み苦しむ人もいるでしょう。しかし、問題が起きたときこそ子供が大きく成長できるチャンスでもあります。そのためには、親がどんな行動をとるかが重要になります。その行動が子供の将来に大きな影響を与えます。

私が若い頃に、担任していた子供が万引きをした事件がありました。その時、その子のご両親が子供を連れて店へ出向かれて丁重に謝り弁償し、子供にもしっかり謝らせました。その立派な態度に店の人も感動したと聞きました。彼は立派な成人に育ちました。その子が成人になってから話をする機会がありました。彼は、「あのとき、両親が謝っている姿を見て、これからは絶対に悪いことはしないと心に誓った。両親に感謝している」と語っていました。

逆のケースですが、図書室の本を何冊も盗んで自分の部屋の天井裏に隠していた子がいました。父親が段ボールいっぱいの盗んだ本を発見したのに学校に本を返さず、「これからは盗むな」と言って庭で燃やしてしまったというのです。父親は社会的地位のある人でした。その子は、大学生になってから取り返しのつかない重大な犯罪を犯しました。父親が本を燃やしたことは、随分後になってから子供本人から直接聞きました。彼は父親を激しくうらみ、憎んでいました。

我が子が問題行動を起こした時に親はどんな行動をとるのか、人間としての真価が問われます。親も多くのことを学ばさせられます。これは教師も同じです。一時の面子にこだわるのでなく、長い目で見て子供の成長につながる行動を心がけたいものです。これには真の勇気が必要です。

子供の問題行動は愛情不足のサインです

 子供に問題行動が多くなってきたら、「悪いことは悪い」と叱らなければなりませんが、それと同時に親自身の日頃の子供への対応を振り返ってみることも必要ではないでしょうか。子供の問題行動は、愛情不足のサインであることが多いものです。学校で暴れることが多くなった、店で万引きしたといった大事件から、テストプリントを見せない、隠すようになった、また、ウソが多くなったといったよくある小さな事件まで、子供に問題行動が生じてきたら、子供を叱るだけでなく、子供がなぜそうなったのかを考えてみることが必要です。もしかしたら、親自身のこれまでの子供への対応にも問題があったのかもしれません。

よくあるケースは、子供への愛情が不足しているのに、学力への要求水準ばかりが高いことです。このような親の下で育っている子供は、いつもイライラしていて不機嫌な顔をしており、たびたび人に暴言を吐いたり暴力を振るったりして皆から嫌われています。愛情不足の子供は、先生や友達の注意を引くために無意識のうちに様々な問題行動を起こすことが多いものです。中には点数に異常にこだわる子供がいます。それは、テストが百点でなければ家でひどく叱られるからです。このような子供は極めて少数ですが、どの学校でも見かけられます。中には、テストプリントを隠したりウソをついたりすることが多くなる子もいます。それは、叱られるのが怖くて、あるいは、親から見捨てられたくないと思ってウソをついている場合が少なくありません。これを「ウソつき」といって子供を厳しく責めるのはかわいそうです。正直に言えない状況、ウソを言わざるを得ない状況に追い込んだのは、実は親自身であるかもしれないからです。このことについて冷静に振り返ってみることが必要です。そして、子供が安心して何事も正直に言える雰囲気や状況をつくってやることが大切です。

ところで、子供への要求水準が高いと、ほめることが少なく叱ることが多くなってしまいがちです。叱られてばかりでほめられることが少ない子供は、いつもイライラしているか、元気がなく無表情になるか、です。ですから、子供の実態によっては思い切って要求水準を一旦下げることが効果的です。「できなくて当たり前。できたらすごいんだ」と考えれば、叱ることは少なくなりほめることが多くなります。その方が結果として子どもが元気になり伸びていくことが多いものです。

子供に、「親から愛されている実感と確信」をもたせましょう

学力への要求水準を高くする前に、まず、子供に対して親としてやるべき大切なことがあります。その一つ目は、子供に「親から愛されている実感と確信をもたせる」ことです。これがない子供は精神的に不安定でイライラしていているので、勉強に集中できるはずがありません。

「愛されている実感と確信」を我が子にもたせるためには、何よりも、まず、子どもにさびしい思いをさせないことです。 一家団らんも大切です。いくら多忙でも週に何回かは夕方7時くらいに家族がそろうようにして、テレビを消して、 無駄な話やくだらない話も自由に 語らうようにしてほしいと思います。 子どもが弱音や愚痴、本音や文句などを言っても聞いてもらえる、受け止めてもらえる時、子供は愛されていることを実感します。そんな家庭がよい家庭です。小学生には、まだまだ、親と一緒に過ごす時間が必要です。忙しい親も、ふれあいの密度を高め、子どもにさびしい思いをさせない工夫をしていただきたいものです。

また、「あなたはわたしにとって大切な存在だ」、「あなたが生まれてきてよかった」、「わたしはあなたを信頼している」、このような親の心からのメッセージを、明確に言葉で伝えておくことはとりわけ効果的です。 

早寝・早起き・朝ごはん、 テレビやゲームは時間を決めましょう

学力以前に大切なことの二つ目は、早寝・早起き・朝ごはんなどの生活習慣を整えることです。 子供には十分な睡眠時間が必要です。睡眠不足の子供に集中力や持続力はありません。また、 睡眠時間が不足すると、気力や生命力すら弱くなってしまいます。こんな状態では学力の向上など期待できるはずがありません。子供の心身の健康を考えると、低学年は夜9時までに、高学年でも遅くとも10時には就寝し朝6時ごろに自分で起きることを習慣にしたいものです。ところで、睡眠不足の最大の原因はテレビ〔男子はゲームも〕のために寝るのが遅くなることです。子供やご家庭の実態に合わせ、子供とよく話し合って、この時間を決めほしいと思います。テレビを見ないことで生まれた時間は、家庭学習、読書、運動、趣味、お手伝いなどの有意義な事に使わせましょう。

また、伸び盛りの子供たちには朝食は絶対に必要なものです。当然のことながら、朝食を食べてこない子供には元気がありません。脳で使われるエネルギーが不足しているので集中力やがんばりもききません。また、イライラして精神的にも不安定にもなりがちです。保護者の皆様には、頭を活性化する質のよい朝食を必ずとらせてから子供を登校させてくださるようお願いいたします。 

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