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すぎた きゅうしん |
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A.理論編 B.実践編 C.心の教育 ◆校長室の窓から ◆リンク集 |
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富山市立山室中部小学校 校長室通信 第9号 (平成18年1月11日) |
ほめて育てることで、愛されている実感と確信をもたせる
子育てで一番大切なことは、子育てを楽しむことだと思います。子育てを楽しんでいる親は、例外なく子供をほめて育てています。ほめて育てることは子供だけでなく、親自身にも心の安定と楽しみをもたらしてくれるようです。
子供が親から愛された、尊重されたと感じるのは、驚くほど小さなことです。親が少し一緒の時間を伸ばしてくれた、書いたメッセージをくれた、寝るときに本を読んでくれたなどのことは、しばしば大人になってからも親の愛情の証としてなつかしく思い出されるものです。それらの多くは親自身も楽しんで行ったことです。中でも、子供はほめられたことや励まされたこと、一緒に喜んでもらったことで、親から愛されている感覚を心深くに無意識のうちに植え付けます。
愛されている感覚をもっている子供たちは、心が安定し、前向き・建設的で希望に燃え、自己評価が高いものです。また、心理学者の研究では、「叱って育てる」より「ほめて育てる」方が、失敗しても学びの経験として前向きに受け止めるなど、立ち直りの力に富み、逆境にも強い子に育つとのことです。そういえば、「逆境に強い女子ゴルフの宮里藍」のお父さんは、徹底的にほめて育てたといいます。
ほめるコツ@ 要求水準を下げ、できていることをほめる
ところで、実際にはほめて育てることは大変難しいのが現実です。
ほめられないのは、子どもへの要求水準が高いからです。子供への期待から、知らず知らずのうちに親の要求水準は高くなってしまいがちです。要求水準が高いと、叱ることが多くなってしまいます。過剰な期待は結果として子供を押しつぶすことになりかねません。ほめ上手になるには、思い切って子どもへの要求水準を一旦下げることです。
「できなくて当たり前。できたらすごいんだ」と考えれば、叱ることは少なくなりほめることが多くなります。例えば、靴を脱ぎ散らかすので当たり前、揃えていたらすごいんだと考えると、靴を揃えたことをほめることができます。できて当たり前と思っていたらほめることは決してできません。「できていないこと」を叱るのでなく、「できていること」「できたこと」をほめるように努力してみるのです。すると、その方が結果として子どもが伸びるのです。特に、いつも叱られてばかりの子供には効果的です。
子供の年齢や性格、親の価値観によってほめるところは当然違ってきますが、要求水準を下げれば、ほめることはどれだけでもあります。例えば、
一人で起きられたね。えらい。
「おはよう」って言われると、お母さんも元気が出てくるよ。
○○してくれて助かるよ。ありがとう。
昨日のうちに時間割を準備しておいたのは、えらいね。
テレビを観る前に宿題したんだ。さすがー。
ゲームの時間を守っているね。うれしいよ。
きれいな字が書けるようになったね。など。
日々の子供の生活場面をよく観察して、あせらず「できていること」「できたこと」をたくさんほめるようにしてください。
ほめるコツ A 結果でなく、チャレンジと努力をほめる
授業で、手を上げて発表したのに答えが間違っていた子供に、手を上げて発言した積極的な姿勢を「ナイス、チャレンジ!」と言ってほめている先生がいます。また、テストでいい点を取ったとき、点数をほめるのでなく、がんばっていたことや努力をほめているお母さんがいます。そして、水泳大会でビリになった我が子に、「最後までよく泳いだ。感動した」と声をかけていたお父さんがいます。
これらの実例のように、いつも結果よりも、チャレンジした姿勢や努力をほめていると、子供は「次もがんばろう!」という意欲が湧き、失敗を恐れなくなります。
ほめるコツ B 最高のほめ言葉「ありがとう」を言う
「ありがとう」という言葉には、相手への感謝と存在を認める意味が込められています。
「新聞とってきてくれて、ありがとう」「学校からのお便り、しっかり届けてくれてありがとう」など、
親から「ありがとう」と言われると、子供は自分が必要とされている存在だと実感され、自己肯定感が育っていきます。これは高学年や思春期の子供に、とりわけ効果的です。
「ありがとう」は最高のほめ言葉であり、それだけでもコミュニケーションになります。「ありがとう」は正直にうれしい気持ちを表現しましょう。それが、うわべの言葉以上に子供の心を動かします。
両親が互いに「ありがとう」を言い合っていると、子供たちも自然に「ありがとう」を言うようになります。すると、家族みんなの心が温かくなり、幸せ感が広がります。
「ありがとう」がたくさんある家庭は、それだけでも子供にとって最高の教育環境です。
ほめるコツ C 繰り返しほめて自信をもたせる
子供が「自分ならできる」と心から自分を信じられるようになるには、時間がかかります。だからこそ、毎日根気よくほめ続け、励まし続けることが必要です。一つでも「よさ」や「優れているところ」が見つかったら、ほめ続けて小さな自信をつけさせるのです。何事にも自信がなかった子供が、「字が上手だ」とほめられ続けたことで、ますます字がきれいになり、字には自信をもつようになった例を知っています。しかも、その一つの自信が他のことにも波及し、よいところがどんどん伸びていきました。
ほめるコツ D 思いやりのない言動は厳しく叱る
子供を健全に育てるためには、ほめる一辺倒ではいけません。当然叱ることも必要です。ただし、日ごろから、「ほめることが9割、叱ることが1割」を目指してほしいと思います。
子供の思いやりのない言葉や行動は厳しく叱り、きちんと相手にあやまらせるのです。ただ、あやまった後は、何事もなかったかのように引きずらないことが大切です。
あるお母さんは、「ありがとう」を始め、ほめ言葉を意識して子供たちにたくさん言っていたら、子供が素直で明るく元気になったといいます。「少し意識してほめただけで、こんなにも子供は変わるんだ」と実感したそうです。今日から意識して子供をほめていきましょう。
保護者の皆様には子供たちの健康的な生活習慣、とりわけ、 早寝、早起き、朝ご飯。テレビとゲームは時間を決めること に格別のご配慮をお願いいたします 。