すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
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校長室の窓から

「百人一首」で日本語の美しさに触れましょう

富山市立山室中部小学校 校長室通信        第10号  (平成18年2月27日)

 近年の国語ブームの広がりで、百人一首に取り組む小学校が増えています。本校でも、 今後、限られた時間の中で工夫して取り入れていきたいと願っています。
 今回は百人一首に触れる意義と効果について考えてみたいと思います。

「百人一首」の音読・暗唱の効果

@ 日本語の美しさに触れさせ、日本人の豊かな心を心の奥にしっかり定着させることができます 。
    百人一首は日本人の発想や美意識、豊かな心を伝えており、今日までの長い歴史の中で読みつ
    がれ、かるた遊びとしても親しまれてきました。いわば国民的財産というべきものです。これに小学
    校時代から触れさせておくことは極めて重要です。

A  百人一首の音読・暗唱は国語力を高めることにつながります 。
   小学校時代に百人一首に親しんでおけば、中学・高校で古文の学習に抵抗感がなくなることは良く
    知られています。しかし、それだけではなく、古い言葉の音読や暗唱は、日本語のニュアンスへの
    感受性を著しく高め、国語力を確実に伸ばすと言われています。実際に、古文を音読・暗唱させる
    ことで飛躍的に国語力を高めた学校や学習塾があります。

B  百人一首は脳力(特に記憶力)を高めることにも極めて効果的です 。
   「5.7.5.7.7」のリズムの百人一首は暗唱に極めて向いています。このリズムに乗って暗唱を繰
    り返すことで優れた記憶回路が形成されます。実際に百人一首を百首覚えたこどもたちの自信は
    大きく、記憶力は飛躍的に鍛えられています。記憶力が伸びれば理解力も伸びます。これは中学
    校以上でおおきな力になります。

C  百人一首のかるた取りゲームは、「速読の練習」になります 。  
    かるた取りゲームは、一瞬のうちにかるたを識別する「視覚認知の訓練」となります。それは、「速
    読」に通ずるものです。ただ、かるたとりゲームに勝つために、上の句の5文字と下の 7 文字だけ
    を覚えて中抜けになっているのでは本末転倒です。勝つためのゲームを主にするのではなく、あく
    まで13文字の一首一首を確実に暗唱することを第一にすることが大切です。

D 子どもたちは百人一首が好きで、 かるた取りゲームで 子どもたちは仲良くなります 。

 

  意味もわからずに暗唱した「百人一首」は、後に教養や知性の骨格になります

乳幼児はどのようにして言葉を覚えていくでしょうか。乳幼児は意味もわからないのに言葉を丸ごと真似しているうちに、パターンを認識して自然に意味がわかって言葉を使いこなすようになります。乳幼児は言葉の意味が後からわかるのです。人間の最初の学習は「言葉そのものを繰り返して覚える」のが先であり、「意味の理解」は後です。言語学習に限定すれば、後から「意味がわかる」のは決して特殊なことではなく、むしろ理解の基本型です。

  速いリズムで何度も繰り返すことが暗唱のコツです

 百人一首の音読・暗唱は朗々としたテンポで行うよりも、速いテンポでリズムにのって何度も繰り返す「高速暗唱法」の方が記憶力が高まり、早く・深く記憶できることが実践してみてわかっています。しかも、子どもたちは速いテンポを好み、時間も大幅に短縮できます。最近の脳科学でも、音読・暗唱のテンポは速いほど脳が活性化することがわかっています。
  覚え方は、音読に慣れたら上の句を見て下の句が詠めるようにします。次は上の句の5文字(または2文字、1文字)を見て、一首全体を詠めるようにします。まずは一首を覚えましょう。次は10首を目指します。40首を超えると加速度がついて覚えるのが速くなります。
過去に、1年入学当初から百人一首の暗唱を始めて2年間かかって、学級全員に百首暗唱できるようにした先生がいました。保護者も全面的に協力されました。3年生になると、その学級の子供たちの学力の高さは、国語を中心に誰の目からも明らかになっていました。
  ところで、その先生が次に1年生を担任したときには「高速暗唱法」で取り組みました。すると、その1年生は、わずか半年あまりで学級全員が百首を暗唱できるようになりました。しかも、それは子供たちが喜んで取り組んだ結果であり、子供たちの表情は自信にあふれていました。百人一首の暗唱は小学時代、それも低学年ほど容易に覚えられるようです。

今後、学校として百人一首の暗唱にも取り組んでいきたいと考えています。(すでに取り組んでいる学級もあります) 現在、各学級用の百人一首かるたを作成中です。来年度の後半には全校(または学年)で百人一首大会をぜひ開催したいと思っています。ご家庭でも、やれるところから取り組んでみてください。別紙の「百人一首」一覧表(B4表裏)をご活用ください。 6年生の皆さんは、中学校入学までに最低10首、できれば40首以上暗唱できるように努力してください。覚えていてよかったと思う時が、きっと来ると思います。

★  元来、百人一首は、小学生が覚えなければならない義務はひとつもありません。 ですから、
   一首でも覚えたら手放しにほめてください。

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