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校長室の窓から

子供の心を開く 聞き方 、心に届く 「話し方」

「親業に学ぶ子どもとの接し方」(近藤千恵 著)より

富山市立山室中部小学校 校長室通信  第17号  (平成18年11月13日)

10 年ほど前に日本PTA全国協議会の推薦図書として、保護者や教育関係者に大きな影響を与えた本があります。 「親業に学ぶ子どもとの接し方」(近藤千恵著、企画室)という本です。私もこの本を読んで大きな影響を受けた一人です。この本には、親と子の関係をよくする上手なコミュニケーションのあり方について書いてあります。その内容は親子関係にとどまらず、すべての人間関係にも応用できるものです。コミュニケーションスキルの基本が詰まっています。

今回は、親子関係やすべての人間関係が一層よくなることを願って、この本の一部を抜粋して以下に紹介したいと思います。

 

「聞き方」 :  子どもの気持ちをしっかり受け止める

 

[ 子どもの心を閉ざす対応の実例 ] 宿題、こんなにいっぱいできないよ! 10 歳のF君

 もう、いやになっちゃうよ!先生は宿題をいっぱい出して!できないよ、こんなに

いっぱい!

 きのう出されたの?

 そうだ!

だったらみんなも同じ条件なんだから、僕だけできないってことないでしょう。

がんばって!

 うるせーな、わかってるよ、そんなこと。

せっかく励まそうとした母親の気持ちはF君に受け入れられないどころか、よけいにF君をイライラさせてしまいました。F君は宿題をちゃんとやりたいと思っているからこそ、量が多くて終わらないとイライラしていたのです。そのことの不満を口にしたとたんに、親からやりなさいという意味の言葉が返ってきたので、「何もやらないなんて言っていないのに」という別のイライラが加わってしまったのです。

[ 子どもの心を開く対応の実例 ]

F君のお母さんは、「うるせーな」の言葉で、「あ、いけない。まず、気持ちを受け止めなきゃ」と切り替えました。

先生がたくさん宿題を出してイヤになってるのね 。

 ・・・・・・・・・・・・

あんまり宿題があるとイライラしちゃって、手につかないわよね 。

 こんな風に、F君の気持ちを理解していることを示して、後はF君に任せました。すると、F君は 5 分ほどぼんやりしてから、宿題を始めたというのです。

まず、子どもの気持ちを受け止めるという、ちょっとした親の変化が、親子関係と子どもの成長に大きなちがいを生みます。この毎日の積み重ねが大きなちがいになります。

 

「話し方」 : 親自身の気持ちをやさしく伝えて、指示・命令を減らす

 

話し方によって、子どもの反応はまるで違うものになります。以下の「あなたメッセージ」の話し方では、 子どもが反発します。これが毎日続くと反抗的に育ちます。逆に、「わたしメッセージ」なら、子どもが反発しにくく、親の気持ちが伝わり子どもの自主性も育ちます。

 

◎「あなたメッセージ」 = 「あなた(=子ども)」の行動を非難・規制し、指示・命令をする 。時には親の感情をぶつける。 ≪ あなたが主語の話し方≫

[ 実例 ] お皿すぐに洗って 「あなたメッセージ」の例 

 状況 毎週土曜日、夕食後、本人(N君8歳)から言い出して、お皿を洗っています。今日の夕食はカレーライスでした。食べた後すぐ洗いません。私としては、皿に黄色いしみがつくのではないかとイライラしています。

 Nちゃん、 すぐにお皿洗ってっていつも言ってるでしょ。何回言ったらいいのよ!

                               ( あなたメッセージ )

 ・・・・・・・・・・・・ むっとした顔でいやいや片付けだす。

 

◎「わたしメッセージ」 = 子どもの行動が 親にどんな影響 を与え、それについての 「わたし(=親)」の気持ちをやさしく伝える 。指示・命令はせず、子どもに判断させる。        ≪ わたしが主語の話し方≫

[ 実例 ] お皿すぐに洗って 「わたしメッセージ」の例

 Nちゃん、 カレーライスの皿ってすぐ洗わないと、黄色いしみが皿についてしまうの。お母さん、そうなったら困るの 。(わたしメッセージ)

 そう、じゃ、すぐ洗う。

< 親の感想 >  言い方一つで、こんなにも子どもが反発しないで行動に移せるのかと、感心している次第です。言葉による影響ってすごいんですね。 「親業に学ぶ子どもとの接し方」より抜粋

 

★ いじめのニュースが連日流れています。不安になっている保護者の皆さんも少なくないことでしょう。私は、問題行動が発生したら直ちに全教職員に周知し、全員で相談することが、学校では最も大切なことだと考えています。小さな問題行動も学校の中で大騒ぎすることが、より大きな問題行動を予防し、深刻ないじめの予防にもつながると確信しています。この方針は、これまでの学校でも本校でも確実に行ってきたつもりです。

  また、子どもの教育は家庭と学校が協力していくことが極めて大切です。保護者の皆様には、気がかりなことが おありで したら学校や教員に相談してください。その際、「わたしメッセージ」でお話していただければ、学校も教員も、より一層、親身になって考えていくことは間違いありません。どうかよろしくお願いいたします。 

 

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