すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
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校長室の窓から

子育てを楽しめば子供は伸びる

富山市立山室中部小学校 校長室通信        第22号  (平成19年6月26日)

子供の小さな成長・進歩・努力を心から喜べば、子供は劇的に伸びる

 

 子育てで一番大切なことは、子育てを楽しむことではないでしょうか。子育てには苦労はありますが、思うようにならない子供にイライラしたり辛いことばかりに心を奪われたりしていたら、子育てを楽しむことを忘れてしまいます。本来、子育ては楽しいものです。我が子がいることの幸せ、我が子の成長・進歩を見られる楽しみは何よりも代え難いものです。

 これまで、素直で明るく温かく、そして能力も高い多くの素晴らしい子供たちに巡り会ってきましたが、彼らの保護者は例外なく子育てを楽しんでいました。子育てを楽しむことは親自身に心の安定と生きがいを与えてくれるだけではありません。親が子育てを楽しむことは、何よりも、子供を素直に育て子供の能力も伸ばすことにつながるのです。

 子育てを楽しむとは、子供の成長を喜ぶことがその中心です。たとえ障害がある子でも、親が子供の小さな成長・進歩・努力を見逃さず心から感動して喜びを伝えていくと、子供は素直に育ち能力も著しく伸び始めるものです。「きのうできなかったことが今日できた。すごいね」と、子供の小さい成長・進歩・努力を認め心から喜ぶ、これに徹することこそ子供を伸ばす究極の秘訣です。

 子供にとっては、親が自分の成長を認めてくれる、ほめてくれる、喜んでくれることほどうれしいことはありません。子供は親から愛されていると実感します。そして、親子の心はしっかり通い合います。そうすれば、子供は素直に育ち、ますます努力するようになり能力も伸びるのです。

 

してはいけないこと@ : 他の子と比べること

 

 逆に、子育てでしてはいけないことは、「他の子と比べること」と「子供への要求水準が高すぎること」です。この二つとも誰もが陥りやすく、悪い結果につながることが多いものです。

 他の子と比べて、うちの子は遅れているという見方をすると、平静な気持ちではいられなくなりイライラしてきます。すると、優しい言葉は出なくなり厳しく叱りつける言葉ばかりがどんどん飛び出すことになります。これが続くと子供は、自分が親からよく思われていない、自分は頭が悪いと思いこんでしまいます。とりわけ兄弟姉妹の間で比べることは、深刻な劣等感(逆の優越感も)や兄弟姉妹の間に亀裂をもたらすなど百害あって一利無しです。

他の子と比べるのでなく、「 昨日の自分」と比べて自分の進歩を知ることこそが大切 です。また、「他の子にまけるな!」でなく「自分にまけるな!」と教えたいものです。

 

してはいけないことA : 要求水準を高くすること

 

 また、子供への要求水準が高すぎると、あそこが足りない、ここが遅れているとヤキモキしストレスでいっぱいになってしまいます。すると、子供の小さな成長・進歩・努力は見えなくなってしまい、ほめる言葉や認める言葉は全く出てきません。ここでも叱る言葉だけが出ることになります。そして、ストレスやイライラは子供に向かいます。「親は僕をダメな子だと思っている。親は僕が嫌いなんだ」と思いこんでしまいます。中には心を閉ざしてしまう子供さえ生じます。子供の気持ちに気付かないまま、こんな状態が不幸にして思春期まで続けば、マスコミで報道されるような様々な事件や悲劇にまで発展する可能性が無しとはいえません。

 子供への要求水準が高くなるのは我が子への期待が大きいからであり、やむを得ない側面があります。ところで多くの場合、親の期待通りにはいかないのが現実というものですが、子供のありのままの現実を受け止めることができず、高すぎる要求水準を改めようとしない例は少なくありません。しかし、過剰な期待は結果として子供を押しつぶすことになりかねません。親にとってもストレスがたまるばかりです。これは後日必ず破綻する日がやってきます。その時すでに、親子の信頼関係は大きく傷ついています。ですから、一日も早く子供のありのままの現実を受け止めて、その子にあった要求水準に改めることが大切です。大抵の場合それは子供への要求水準を思い切って下げて、その子に必要な最低限の基礎・基本に戻ることを意味します。「できなくて当たり前。できたらすごいんだ」と考えれば、イライラや叱ることが少なくなり、子供の小さな成長・進歩・努力を喜べるようになるのです。そうすると、自然にほめる言葉も多くなり子育てが楽しくなります。例えば、子供は靴を脱ぎ散らかすので当たり前、そろえていたらすごいんだと考えると、靴をそろえたことをほめることができます。できて当たり前と思っていたら決してほめることはできません。「できていないこと」を叱るのでなく「できていること」「できたこと」を認め、ほめるように努力してみるのです。すると、そのほうが結果として子供が伸びるのです。特に、いつも叱られてばかりの子供には効果的です。私は物事をしっかり身に付けるには1000回繰り返すことが必要だと考えています。これを「1000回の法則」と名付けています。もちろん、多くの場合、1000回も必要ありませんが、このように考えていればイライラすることは格段に少なくなります。子育てに当たって、ぜひ、この1000回の法則を採用していただきたいものです。

 

あるお母さんは、子供をマイナスに見ていて、親もストレスでいっぱいだったのに、思い切って要求水準を下げ、その子のよい点や伸びた点に目を向け心から喜んでほめるように接してみると、子供が変わり始め素直で明るく元気になったといいます。「すこし意識してほめただけで、こんなにも変わるんだ」と実感したそうです。

学校においても、子供の小さい成長・進歩・努力を認め心から喜ぶ、この指導に徹するよう努力していきたいと思います。

 

 

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