すぎた きゅうしん
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校長室の窓から

遅寝・遅起き、睡眠不足がもたらす悪影響

富山市立山室中部小学校 校長室通信        第24号  (平成19年9月14日)

今日の日本は、他の先進国と比べても突出した不眠大国です。厚生労働省研究班の調査によれば、中学・高校生の3割が平均睡眠時間が6時間に満たず、4割が睡眠不足の症状があるとのことです。また、3歳児の5割は就寝時刻が午後10時以降であるとの調査結果があります。 夜遅くまで起きていて睡眠不足になっているのは一部の子供だけの問題ではなく、多くの子供たちにも見られる傾向であり、今日の社会全体の問題です。しかし、日本 社会の認識は 「遅寝・遅起きよりも 早寝・早起きの方がよいだろう」という程度のもので、 その深刻な悪影響についてはあまり考慮されていません。そのため、遅寝・遅起き、睡眠不足を重大なこととして受け止められていないのが現状です。そこで今回は遅寝・遅起き、睡眠不足の悪影響について考えてみます。

 

@ 遅寝・遅起き、睡眠不足で 脳のパワーが落ちる

 まず、 昨年も紹介しましたが、以下に示したのが、睡眠と学力の関係の資料です。

睡眠時間とテスト平均点の相関関係(広島県基礎基本調査 小学5年生 27125 名)

 

5時間未満

5時間台

6時間台

7時間台

8時間台

9時間台

10 時間以上

 

国語

51,9点

61,8

66,1

69,9

70,8

70,3

64,7

算数

53,9点

63,8

69,8

73,4

74,1

73,8

67,7

 

 

 

 

 

 

 

この調査結果を見ると、学力がつく睡眠時間は8〜9時間の間ということになります。(中学生は7〜8時間) 極めて高い学力の子供は午後9時半までに寝ているという調査もあります。  また、5時間未満という睡眠不足の状況では、極端に成績が下がるということが分かります。ただ、 10 時間以上は逆に点数が下がっています。寝過ぎもよくないことが分かります。

子供たちを見てきて、 遅寝・遅起き、睡眠不足の子供には明らかに集中力や持続力がありません 。

IQ(知能指数)も低い傾向が見られます。遅寝・遅起き、睡眠不足が続けば脳のパワーも次第に低下していきます。それはIQの低下と学力不振につながるようです。

 遅寝・遅起き、睡眠不足の生活習慣を続けている子は、たとえ小学校入学時には能力的に劣っていなくても、学年が上がるにつれて深刻な学力不振に陥っていくことが多いものです。逆に、生活習慣がしっかりしている子は、能力的にやや劣っていても遅れずについていくことは少なくありません。さらには、朝勉強の習慣で遅れを取り戻し追い越していった子もいます。

 

A 遅寝・遅起き、睡眠不足で 身体が不健康 になり、 運動能力も低下 する

 

遅寝・遅起き 、 睡眠不足が続くと、ホルモンの分泌や神経リズムが狂い、なんとなく だるい、疲れやすい等の症状が出てきます。だるい、疲れるので運動を避けるようになります。そして運動不足は低体温をもたらし一層の身体の不調(ぐっすり眠れない等)につながります。(運動の効果については保健だより 「すこやか」 9月号をぜひ参照ください)こうして、不健康の悪循環に陥ってしまいます。

また、運動を避けることは運動能力の低下にもつながります。幼児期や児童期においては運動能力と知的能力は密接な関連があると言われています。

B 遅寝・遅起き、睡眠不足で 心のエネルギーが低下 する

 

また、遅寝・遅起き 、睡眠不足が続くと、感情も不安定になり怒りっぽくなります。さらには 躁 ( そう ) と 鬱 ( うつ ) を繰り返して、そのうち極端に元気がなくなっていきます。 気力や生命力そのものが弱くなってしまうのです。生命力が弱体化すると、心が傷つきやすくなり小さなプレッシャーにも押しつぶされがちになります。そして、何に対してもやる気がなくなってしまうことすらあるのです。

 

C 遅寝・遅起きの 夜型の生活は、思春期以降の深刻な問題発生につながる

 

 生徒指導の観点からも、小学生の時から 遅寝・遅起きの夜型生活に慣れていると、中学、高校生になって夜遊び、深夜徘徊、さらには非行に走る確率は高くなり、逆に、早寝・早起きの朝型の生活をしているとその確率は格段に低くなると言われています。

先日、大学の教官から、大学生で 遅寝・遅起きで昼夜逆転の生活になり 授業に出られなくて留年し、結局は退学に追い込まれるケースが多いという 話を聞きました。そのため、大学入学時に早寝・早起きの生活指導を厳しくやっているとのことです。また、 昼夜逆転の生活で仕事が長続きしない若者が少なくないとの話も耳にします。 早寝・早起きの生活習慣は幼児期、児童期だけ必要なのではなく大人にも必要なのだと改めて痛感します。

一説によると、幼児期に遅寝・遅起きの生活習慣が刷り込まれていると、小学校に入学して一旦は早寝・早起きになっても、高学年や中学生になると遅寝・遅起きに逆戻りしやすいと言われています。そうならないように、小学生の間に早寝・早起きの習慣をしっかり確立しておきたいものです。

 

元気は 早寝・ 早起き・朝ご飯から

 

昔から早寝・早起きする人は元気になるといわれていますが、実際に、早寝・早起きで8時間眠るのと、遅寝・遅起きで8時間眠るのでは、早寝・早起きの方が疲れがよく取れることがわかっています。

朝日の光を浴びて、さわやかな朝の空気を吸う生活を続ければ確かに元気になります。実際に、早寝・早起きで朝日の光を浴びることや家の中の掃除や整理整頓にしっかり取り組むことによって、うつ状態から抜け出すことができたという話さえあります。これは大人の話ですが、子供なら早寝・早起きの影響は、もっと大きいでしょう。

子供には十分な睡眠時間が必要です。ぜひ早寝・早起きで睡眠時間をしっかり確保させたいものです。 子供の心身の健康を考えると、低学年は夜9時までに、高学年でも遅くとも10時までには就寝し(理想は9時半まで)朝6時ごろに自分で起きることを習慣にしたいものです。

大人も子供も、まずは 今より15分早く寝て、睡眠時間を増やしたらどうでしょうか 。これだけでも、随分元気に一日を過ごすことができると思います。 

★  早寝・早起きを習慣にするためには、まず、起きる時刻を固定すること(6時〜6時半頃)から始めることが大切です。疲れている子供を少しでも長く寝かせてやりたいとの親心から、ついつい遅くまで寝かせていては、いつまでたっても早寝・早起きの習慣は身に付きません。起きる時刻を固定し継続することで、夜には早く眠くなって早寝・早起きが習慣になりやすいものです。

 

※ 今日より一週間「毎日しっかり朝ご飯」調べが始まりましたが、早寝・早起きについてもご配慮をお願いいたします。

※ 遅寝・遅起き、睡眠不足の悪影響について、ぜひ、ご家族で話し合ってみていただきたいと思います。

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