すぎた きゅうしん
杉田久信の “現場”
からの教育提言
 ≪基礎学力で教育再生≫

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校長室の窓から

基礎的な学力向上にICT活用

     ( ICT =インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジーの略語で

      情報通信技術の意。ここでは、それらの情報通信機器を指します)

富山市立山室中部小学校 校長室通信        第27号  (平成20年2月14日)

本校では、すべての通常学級に実物投影機とプロジェクター、パソコンを常置しています。

今回は、特に実物投影機とプロジェクター常置の意図について記したいと思います。

 

実物投影機のある日常の授業風景

 実物投影機とプロジェクターを常置したことにより、スイッチを入れさえすれば簡単に教科書やノートなど何でも拡大して映すことができるので、どの先生も毎日の授業で積極的に活用しています。

最近の実物投影機は驚くほど進化しており、様々な機能が付いて映像も極めて鮮明です。

毎日の「基礎学力の時間」の漢字指導では、漢字ドリルの色つきのお手本が黒板上の「引き出し式スクリーン」等に鮮やかに大写しされ、書き順を子供たち全員が元気に唱えながら指で空書きしています。また、ストップウオッチが大写しされる中で、各自がタイムを確認しながら基礎計算の練習も行われています。どの学級も鉛筆を走らせる音しか聞こえない集中ぶりです。

教科の授業でも、最初に教科書が大写しされて始まることが多くなりました。特に社会科では、拡大された教科書の「写真から読みとる」授業が活発に展開されています。授業中に児童のノートを拡大して話し合いをしている姿もよく目にします。

6年の総合的学習では、子供たち全員が自分の「夢・志」についてパワーポイントにまとめ、各学級で映像を活かした発表会が行われました。これは2学期の学習参観の時に実施され、多くの保護者の皆様にご覧いただきました。

これら実物投影機を活用した授業は、子供たちを集中させ意欲的な反応を引き出しています。このことから、ICT活用の効果と大きな可能性を実感しています。

3年社会科の授業より : 教科書の写真から『安全の工夫を読みとる』

指示・発問の明確化に効果

 実物投影機を活用することの最大の効果は、教師の指示・発問が明確になることです。今日の子供たちは映像で育っているため、言葉だけの指示・発問だけでは伝わりにくい傾向があります。その点、実物投影機でビジュアルに提示すれば教師の指示・発問が明確になり、子供に伝わりやすくなります。それは教師の授業力向上に役立ちます。また、教師の指示が子供にしっかり通れば学級の崩れを防ぐことにもつながります。

授業力の向上のためには、「 指示・発問の明確化 」の他に、「 教科書の徹底活用 」「 ノート指導の重視 」も大切だと思われます。この点でも、教科書やノートを鮮明に拡大してくれる実物投影機は、大いに役立ちます。全教職員で使い方を一層工夫していきたいと考えています。

さらに、実物投影機の活用は、授業力の向上だけでなく、子供たちの 学校での生活規律の確立にも効果 があると思われます。例えば、「靴がはみ出して散乱している下足箱」と「きれいに整えられている下足箱」を写真で対比して見せれば、気をつけるべきことが一目瞭然になり、徹底しやすくなります。

本校で実際にあったことですが、登校してもランドセルを投げ出したまま遊んでいる低学年の子供がいて、担任は言葉で何度注意しても効果がないので困っていました。そこで、登校したらやるべきこと(ex:ランドセルの中の教科書等を机の中に入れてから、ランドセルをロッカーにしまう・・・など)をさし絵にして掲示してみました。すると、担任が何も言わないのに、その子はさし絵の通りにしていたというのです。映像で指示することの重要性を教えてくれるエピソードです。今後は、実物投影機等を生活指導にも積極的に活用していければと考えています。

 

教育へのICT活用が広がらない理由

 これからの社会は情報化がますます進展していくことが確実です。先進各国は情報化社会に対応するため、教育へのICT活用を競って進めています。ところが、日本は世界最先端の情報通信機器を開発しているのに、教育へのICT活用はほとんど広がってはいません。このことは、教育関係者がその必要性をあまり感じていないことが大きな原因だと思われます。「教育に情報機器など必要がない」と明言する教員は少なくありません。先日もある教育関係者の会合でこの言葉を耳にしました。これは、これまでの情報教育といえば、パソコンが得意な一部の教員による特別な研究授業での高度な実践(例えば、他校とのテレビ会議の授業や情報選択・活用の授業など)が主流だったため、多くの教員に自分には関係ないとの思いをもたせることにつながったようです。また、パソコンにのめり込んで他のことをおろそかにしていた一部の教員への反発もあったようです。さらに、過去にOHPなどの視聴覚機器が十分には活用されず、粗大ごみになった経験も影響していると思われます。

 このことを踏まえて、本校のICT活用の方針は、「一部の教員による、特別な研究授業への活用、高度な活用」ではなく、「 すべての教員 による、 日常的な活用 基礎的な学力向上への活用 」を重視しています。この方針こそ、日本の教育へのICT活用を普及することにつながると確信しています。

なお、すべての教員による日常的な活用を可能にするには、すべての学級にICTの機器を常置することが欠かせません。常置してなかったら、そのたびごとに機器を運んできてセッテングすることで疲れてしまいます。これでは日常的な活用など不可能です。

そのため本校では、すべての通常学級への機器の常置に努力しました。富山市から支給された機器で不足している分は、各方面から借用したものや一部個人で購入したもの、旧式のものなども含めて何とか工面しました。こうして体制が整ったので、現在は使い慣れることに重点をおいています。

 

今後のICT活用プロジェクト

 今後、本校が目指すICTの活用は、

@ 生活規律確立プロジェクト

A 基礎学力底上げプロジェクト

授業力向上プロジェクト

以上 3 つのプロジェクトに集約されます。ICTは万能ではなく、授業のための一つの道具にすぎません。しかし大きな可能性を秘めています。学校全体で効果的な活用を工夫していきたいと思います。 

 

 ★  2 月 17 日の学習参観では、実物投影機を活用した各学級の授業をご覧ください

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